陽子線治療との違い

Difference from proton beam therapy

X線には陽子線と異なる物理的な欠点があります。以下の図をみてください。

X線治療と陽子線治療の違い
Basic Clinical Radiobiology fourth edition 10. Modified fractionationより引用

外部放射線治療は、体外から皮膚を通して放射線を照射します。X線は皮膚に近いところで一番多くのエネルギーを与えるため、腫瘍までの間の通り道の正常細胞に余分な照射をしてしまいます。また、腫瘍を通り抜けるため、腫瘍の後ろの正常細胞にも照射してしまいます。一方、陽子線は、腫瘍のところで一番エネルギーを与え停止します。赤色の部分がX線を用いて治療を行った場合に陽子線より余分に照射される領域です。陽子線は腫瘍に同じ線量を照射した場合にX線に比べて約半分の被曝量ですみ無駄な被曝を減らせます。陽子は電子より約2000倍重いため、加速させるためにX線に比べ大きな機械が必要になります。設備費用は非常に高額で、日本でも限られた施設にしかなく、これまでは治療のため遠方まで出かける必要がありました。しかし、この度大阪にも陽子線治療施設ができることになり利便性が向上し、より身近な治療となりました。