対象となる主ながん

Target cancer

当クリニックで現在治療できるがん

前立腺がん

前立腺がん

前立腺がんの治療法は、手術療法、放射線治療、薬物療法などがあります。血液検査、画像検査、病理検査により、悪性度や癌の広がりを予測します。陽子線治療は、リンパ節転移や遠隔転移がない場合に適応となり、放射線治療のなかでは最も有効で安全性の高い治療法の一つです。癌の悪性度により、ホルモン療法の併用が必要になることがあります。また、より正確な照射を行うために前立腺内に金属マーカーを挿入したり、直腸を守るために前立腺と直腸の間にスペーサー(スペースOAR®)を挿入したりすることが必要になる場合があります。

前立腺がんの放射線治療計画について

CT検査

前立腺がんは多発することが多く、放射線治療は前立腺全体を照射することになります。実際の外部照射と同じように固定具に横になってもらい、CT画像を撮影します。これは線量計算に必要な電子密度を測定するためです。次に照射をおこなう前立腺をCT画像上に示す必要があります。コンピュータは自動的には前立腺を認識することができないためです。しかしながらここに大きな問題があります。CT画像は組織コントラストが悪く、CT画像のみでは正確に前立腺を示すことができない可能性があることがカナダからの研究で明らかになっています。

MRI検査

このため組織コントラストが良いMRI画像で前立腺を示すことを推奨されています。当院は治療専用のMRIを有しており、確実にMRIが施行できより正確な放射線治療が可能です。

CT画像とMRI画像との正確な重ね合わせ

フュージョンのイメージ

コンピュータで、組織コントラストが良好なMRI画像上の前立腺を示すとそのコピーがCT画像に写されます。この機能を使うことではっきりしないCT画像上の前立腺がはっきり正確に示すことができます。前立腺は容易に動きますので、必ずしも同じ位置にあるとは限りません。よって、ここで大切なことはCT画像とMRI画像の前立腺の位置を正確に合わせることが必要です。しかしながらそもそもCT画像で前立腺がはっきりしないためMRI画像を撮影したのであり、CT画像上の前立腺とMRI画像上のMRIを合わせることは困難であることがわかります。

fiducial marker
fiducial marker

ここで必要なものは、fiducial markerです。当院では連携病院である大阪暁明館病院の泌尿器科にお願いして前立腺の中にfiducial marker (Gold Anchor®)を3個挿入してもらっています(図)。そうすることで、CT画像上にも、MRI画像上にも3個のfiducial markerが写ります。このマーカーどうしを合わせることで、CT画像上の前立腺とMRI画像上の前立腺が一致していることが保証されます。この状態にしておいて、MRI画像上で前立腺を示すとCT画像上にコピーされ、CT画像上に正確に前立腺を示すことができます。これで正確に照射する部位が決定されました。

コンピュータにて線量計算

この前立腺に対して、複数回撮影した画像から線量計算を行い、患者様に合った適切な治療計画を作成します。

コンピュータにて線量計算

放射線治療計画の検証

次におこなわれるのは、コンピュータでの計画した数値が実際に再現されるか確認作業に入ります。人体に近い環境として水中での線量測定を行います。コンピュータによって複雑な線量分布が形成されているため、それらが照射装置で正しく反映出来ているかを実際に確認し評価した上で患者様の治療へと臨みます。

リハーサル

治療に来られた際の流れは以下のとおりです。

  1. 受付
  2. 問診
  3. 3階へ移動
  4. 更衣→陽子線治療室へ入室
  5. 治療→陽子線治療室から退室
  6. 更衣
  7. 会計→帰宅

治療の時と同じ条件下で、治療室へ入って頂きます(陽子線治療のみ)。
流れについては、当日に説明用紙を読んで頂き、担当技師からもご説明させて頂きます。

位置決め

正確な照射を行うため、治療の前には毎回、位置合わせを行う必要があります。

  • リハーサルと同じように固定具を付けて治療台の上に横になります。
  • 固定具に付けられたマークを目安にしておおよその位置まで治療台を動かします。
  • 正面・側面のX線画像を撮影しながら位置合わせを行い、照合用X線画像との誤差を修正していきます。
  • 誤差が1mm以内になりましたら位置決めは終了です。
照射
  • 陽子線が照射されている間に、痛みや熱さなどを感じることはありません。
    また、陽子線を直接目で見ることもできません。
  • この間、絶対に動かず、じっとしていただく必要があります。治療が終わってからも指示があるまでは動かないで下さい。

放射線治療開始

このときもfiducial markerは必要です。前述したように前立腺は日々移動します。その時どこに前立腺がいるかfiducial markerをみることでわかります。このfiducial markerを合わせてから実際の照射がおこなわれますので確実に前立腺に照射されることになります。

肺がん

肺がん

肺がんの第一選択は手術になります。しかしながら、合併症等により切除が困難である場合に肺定位照射がおこなわれます。
肺定位照射の適応はリンパ節転移や隣接臓器浸潤のない肺癌です。
陽子線治療は線量の集中性がよくX線での定位照射で適応とならないサイズ(5cm以上)でも適応となることがあります。正確に照射を行うために、肺がんの病巣の近くにfiducial marker(金属マーカー)を留置する場合があります。

肺がんの適応について

末梢型 肺の末梢側の腫瘍かつ肺合併症なし
10回照射
中枢型 肺の中枢側で心臓・食道に腫瘍が近接または肺合併症を有する症例
22回照射

肺がんの放射線治療計画について

CT検査

肺がんに対して複数の角度から陽子線を照射するため、妨げとならないよう両手を上げた状態で、実際の外部照射と同じように固定具に横になってもらい、CT画像を撮影します。両手を上げにくい場合には、辛くなく維持できる姿勢での治療を工夫します。CT画像は線量計算に必要な電子密度の測定の役割も兼ねています。次に照射をおこなう肺がんの病巣をCT画像上に示す必要があります。
肺は呼吸によって動くため、適切に治療が行えるように、その動きを観察する検査も合わせて実施します。
実際に治療を行う際には、正面と側方からX線写真(レントゲン写真)を撮影し、骨や腫瘍の陰影を確認しながら照射位置を決定します。腫瘍が小さく写真で確認がしにくい場合には、あらかじめfiducial marker(金属マーカー)を病巣の近くに留置し、その位置を確認しながら照射位置を決定します。

肺は呼吸によって動くため、適切に治療が行えるように、その動きを観察する検査(※4DCT)も合わせて実施します。治療がスムーズに行えるよう、リラックスできる呼吸方法についても簡単な練習を行います。

実際に治療を行う際には、正面と側方からX線写真(レントゲン写真)を撮影し、骨や腫瘍の陰影を確認しながら照射位置を決定します。腫瘍が小さく写真で確認がしにくい場合には、あらかじめfiducial marker(金属マーカー)を病巣の近くに留置し、その位置を確認しながら照射位置を決定します。
※4DCT:4次元CT検査
立体の3次元に時間軸を加えることで、3次元画像が動いて見えるようになる撮影法です。

コンピュータにて線量計算

この肺がんに対して放射線治療の線量計算を行います。計算結果が問題なければ終了です。

放射線治療計画の検証

次におこなわれるのは、コンピュータでの計画した数値が実際に再現されるか確認作業に入ります。人体に近い環境として水中での線量測定を行います。コンピュータによって複雑な線量分布が形成されているため、それらが照射装置で正しく反映出来ているかを実際に確認し評価した上で患者様の治療へと臨みます。

ボーラスの作成

治療計画装置からのデータをもとに陽子線ビームの深さを調節するボーラスを作成します。このボーラスは患者様の病巣に合わせて作成するため、ひとりひとり専用のものとなり、治療時に陽子線治療装置に装着して使用します。

リハーサル

治療に来られた際の流れは以下のとおりです。

  1. 受付
  2. 問診
  3. 3階へ移動
  4. 更衣→陽子線治療室へ入室
  5. 治療→陽子線治療室から退室
  6. 更衣
  7. 診察(週1回の割合)
  8. 会計→帰宅

治療の時と同じ条件下で、治療室へ入って頂きます(陽子線治療のみ)。
流れについては、当日に説明用紙を読んで頂き、担当技師からもご説明させて頂きます。

位置決め

正確な照射を行うため、治療の前には毎回、位置合わせを行う必要があります。

  • リハーサルと同じように固定具を付けて治療台の上に横になります。
  • 固定具に付けられたマークを目安にしておおよその位置まで治療台を動かします。
  • 正面・側面のX線画像を撮影しながら位置合わせを行い、照合用X線画像との誤差を修正していきます。
  • 誤差が1mm以内になりましたら位置決めは終了です。
照射
  • 陽子線が照射されている間に、痛みや熱さなどを感じることはありません。
    また、陽子線を直接目で見ることもできません。胸部や腹部に対する治療の場合には呼吸リズムに合わせた治療を行うため、治療時間が長くなります。
  • この間、絶対に動かず、じっとしていただく必要があります。治療が終わってからも指示があるまでは動かないで下さい。

放射線治療開始

リハーサルと同様の流れで行います。
呼吸による動きをモニタリングしながら照射を行うため、リラックスした状態で自然な呼吸を続けていただく必要があります。
呼吸の状態が大きく変わった場合には照射を中断し、もう一度位置を合わせなおしてから照射を再開するため、大きな心配は不要です。
このようにすることで、毎日確実に肺がんに照射されることになります。