治療の流れ

Treatment flow

当院での治療をご希望の方は、まず主治医の先生とご相談の上、主治医のいる医療機関をより当院宛にご予約を頂く必要がございます。
(治療開始までの手続きについてはこちら


初診

初診のご案内
  • まず、当院の診察を受けて頂き、陽子線の概要のご説明と適応の確認を致します。その際には診療情報提供書や検査データの持参が必要です。
  • 患者さんによってはうつぶせの治療であったり、絶食が必要であったり治療の条件もありますので身体状況の診察があります。
  • 治療部位によっては事前の処置が必要な場合があります。また糖尿病や高血圧などの持病がある方は治療前に主治医の診察を受け、病状のコントロールの方法を確認しておいてください。
  • 治療内容について不安な場合など、診察時間を有効に利用できるように事前に質問したいことなどを整理してこられることをお勧めします。
  • 治療を受けるかどうか悩まれる時は、すぐに決断せずに再度主治医やご家族でご相談されることも大切です。
  • 診察時、看護師が必ず同席しておりますので、医師の説明で分かりにくいことや、不安なことがあれば遠慮なく担当の看護師にご相談ください。
  • 治療が適応と判断されると、治療準備開始の日程を相談します。

治療が決定したら

医師からの説明の後、看護師と放射線技師からオリエンテーションがあります。

看護師からのオリエンテーション

治療を受ける上での注意点や患者さん自身が治療に積極的に取り組んでいただくために看護師が説明をいたします。

治療スケジュールについて 治療は基本的に月から金曜日の平日になっていますが装置のメンテナンスのスケジュールによっては休日に実施されることがあります。
日常生活の過ごし方 治療中は睡眠や栄養を十分にとり、風邪などに注意して過ごしてください。
健康管理 持病のある方は看護師にお伝えください。
  • 痛みや吐き気がある方は治療時に症状が軽減できるように一緒に考えます。
  • 不安があると治療の妨げになりますので遠慮なく相談ください。
  • 外来通院の方へは通院の方法や自宅での注意について説明します。
  • 予測される副作用の出やすい時期と予防と症状緩和のために取りくんでほしい内容を説明します。
オリエンテーションの案内


治療準備

治療開始から終了までの日程が決まります。治療開始までの準備には約10日間かかります。

  • 1

    放射線技師からのオリエンテーション

    検査・治療時に大切なことと、治療までの流れについてを説明します。

  • 2

    固定具作成

    毎回同じ場所に照射をすることで、病巣への線量を集中させ大切な臓器を守るので、毎回同じ体勢をとっていただくために「固定具」というものを作成します。固定具には身体の下に敷いて型をとるものと、身体の上から被せて型を取るものの2種類があります。身体の下に敷くものはビーズクッションのようなもので、クッションの空気を抜くことで全体が固まり、身体の型を保存することが出来ます。

    固定具
    固定具

    身体の上から被せるものはプラスティックの板のようなもので、温めることで柔らかくし、冷やすことで固まり身体の型を保存することが出来ます。当院では全ての患者様の治療部位に応じてこれらを使い分け、専用の固定具を用意することで治療精度を高めます。

    固定具を作成する際に、同じ体勢かどうかを確認するために、皮膚上にペンで印をつけさせていただきます(マーキング)。検査や治療の際には、作成した固定具を使用したうえでこのマーキングを技師が確認し、素早く正確に同じ体勢へと調整します。ここで作成した固定具は治療が終わるまでずっと使い続けます。

    注意点

    • この時にとった体勢がこれから治療を受ける姿勢になります。
    • 緊張したり身体に力が入っていたりすると体勢が変化してしまうためリラックスしてください。
    • 痛みやしびれなどがありましたら固定具を調整いたしますので遠慮なく教えてください。
    • 位置決めCTから治療まで服装が大きく変わらないよう心がけてください。
    • 普段どおり、自然な息をしてください。
    • ご病気による痛みや、体勢による苦痛などがある場合、事前に調整が必要になりますので、我慢せずに早めにお知らせください。
  • 3

    位置決めCT/MRI撮影

    固定具を付けて、実際に治療を受ける姿勢でCT検査を行います。この断層画像が陽子線治療計画を行うための基本となります。CT検査で得られる画像は、少ないゆがみで身体の中の様子を見ることが出来るだけでなく、身体の密度を知ることが出来るため、陽子線のビームの飛び方や広がり方の想定(シミュレーション)に利用します。呼吸で位置が変化する場合には、呼吸波形を取得しながら一定時間CT撮影を行う検査(※4DCT)も行い、より正確にお身体の状態を観察します。

    CT検査
    CT検査

    MRI検査で得られる画像は、CTのように精密な構造を捉えるのではなく、組織の様子を捉えることに優れています。そのため、がんと正常な組織を区別したり、CTでは分かりにくい身体の中の様子を知ったりすることが出来ます。

    当院では、どちらの検査でも同じように固定具を使用して検査を行うことが出来るため、CTとMRIの画像を重ね合わせて、それぞれの優れる点を生かしながら治療計画を行います。

  • 4

    陽子線治療計画

    位置決めCTとMRIの画像をもとに、腫瘍の大きさや進展範囲を判断し、適切な粒子線の照射範囲や方向、線量の処方を行います。

    CT画像とMRI画像の重ね合わせ(フュージョン)
    CT画像とMRI画像の重ね合わせ(フュージョン)の様子
    1. CT画像とMRI画像の重ね合わせ(フュージョン)を行います。
    2. 画像をもとに腫瘍の範囲と守るべき臓器を指定します。呼吸や身体の動きによる誤差も考慮して適切な照射範囲を決定します。
    3. 標的に適切に陽子線が照射できるように、照射する方向や飛距離を調整します。治療計画装置上でこの調整の試行錯誤を繰り返し、高い治療効果を維持したまま副作用を抑えたビームへと研ぎ澄ましていきます。

    前立腺がんの放射線治療計画について

  • 5

    再診・検査日調整

    協議の結果を含めて、医師が治療方針についてご説明します。陽子線治療の適応と判断した場合は、看護師が治療までのスケジュール確認や日常生活における注意点などをご説明して治療の準備を進めます。

    CT画像とMRI画像の重ね合わせ(フュージョン)
    CT画像とMRI画像の重ね合わせ(フュージョン)の様子
    1. CT画像とMRI画像の重ね合わせ(フュージョン)を行います。
    2. 画像をもとに腫瘍の範囲と守るべき臓器を指定します。呼吸や身体の動きによる誤差も考慮して適切な照射範囲を決定します。
    3. 標的に適切に陽子線が照射できるように、照射する方向や飛距離を調整します。治療計画装置上でこの調整の試行錯誤を繰り返し、高い治療効果を維持したまま副作用を抑えたビームへと研ぎ澄ましていきます。

    前立腺がんの放射線治療計画について


治療開始

1回の治療時間は15~40分です。

リハーサル(治療前日)

治療に来られた際の流れは以下のとおりです。

  1. 受付
  2. 問診
  3. 3階へ移動
  4. 更衣→陽子線治療室へ入室
  5. 治療→陽子線治療室から退室
  6. 更衣
  7. 診察(週1回の割合)
  8. 会計→帰宅

治療の時と同じ条件下で、治療室へ入って頂きます(陽子線治療のみ)。
流れについては、当日に説明用紙を読んで頂き、担当技師からもご説明させて頂きます。

位置決め

正確な照射を行うため、治療の前には毎回、位置合わせを行う必要があります。

  • リハーサルと同じように固定具を付けて治療台の上に横になります。
  • 固定具に付けられたマークを目安にしておおよその位置まで治療台を動かします。
  • 正面・側面のX線画像を撮影しながら位置合わせを行い、照合用X線画像との誤差を修正していきます。
  • 誤差が1mm以内になりましたら位置決めは終了です。

照射

  • 陽子線が照射されている間に、痛みや熱さなどを感じることはありません。
    また、陽子線を直接目で見ることもできません。胸部や腹部に対する治療の場合には呼吸リズムに合わせた治療を行うため、治療時間が長くなります。
  • この間、絶対に動かず、じっとしていただく必要があります。治療が終わってからも指示があるまでは動かないで下さい。


治療中

通院できる方は外来で治療を行います。
なお、入院での治療を検討されている場合はご相談下さい。

治療スケジュールについて

  • 治療は月曜日から金曜日までの平日毎日行い、決まった回数(日数)まで連続で照射を行います。土曜日・日曜日と祝日は基本的にお休みですが、平日が祝日などでお休みとなった場合や、機械のトラブルなどやむを得ない理由で治療を出来ない日が生じた場合、治療の効果を保つために振替の治療を土曜日に行うこともございます。
  • 治療を行う時刻は予約制で、毎日決まった時間にお越し頂きます。治療時刻は可能な限りご希望に配慮致しますが、自由に選択することができないことをご了承ください。
    日々の治療にかかるお時間は、治療の直前にお身体の位置を正確に合わせますので、お着替えの時間も合わせて、約30~40分が必要です。

治療中の診察

  • 治療中には副作用の発見、対処のため定期的な診察(週1回程度)を行います。
    (なお治療当初の2~3週間には強い副作用が起きることは少なく、患者様は普段どおりの生活を送ることができます)
  • それ以降、急性期の副作用(急性反応)による症状が起きる場合があります(照射範囲に入っている部位で)。例えば骨盤部の照射を行う場合、排尿時の違和感や出にくい感じが起きることがあります。いずれの場合も一時的なもので、通常治療終了後2~4週間で改善します。
  • 安全で安楽に治療を受け頂けるように援助します。不都合なことが生じた場合はご遠慮なくお知らせ下さい。

治療中の生活

  • 普段通りの生活を送っていただけます。皮膚の上に簡単なマークを付けますが、入浴していただいても構いません。ただし、日光が直接治療を受ける場所にあたらないよう注意していただく必要があります。
  • 治療開始前に生活での注意点を看護師よりご説明します。
  • 受付終了後に毎日体調などを問診表に記載して頂きます。
治療中の生活についてのご案内

副作用対策

自覚症状に変化がでてきた場合はご相談ください。症状によってケア方法やお薬を検討していきます。


治療終了

  • 照射が予定の回数に達したら、治療終了となります。
  • 治療終了時点での治療効果や副作用、今後の見通しや注意点などに関して説明を行い、今後の方針を相談します。必要に応じて治療経過についての資料(診療情報など)をお渡しします。これは今後、患者様と当院、紹介元病院の医師が病状に関する情報を共有するために使います。
  • 医師から行われた治療の説明と治療後の予測される経過と副作用、治療後の診察・検査の予定の説明があります。
  • 医師の説明後に治療後の経過や副作用など注意点を看護師からもご説明します。治療後の事で気がかりがあれば看護師にご相談ください。
治療終了のご案内
  • ※副作用は個人差がありますが治療直後で症状のピークがあり、適切なケアを行うことで1~2ヶ月前後で改善します。
  • ※栄養状態が低下していたり、糖尿病の持病のある方は治癒が遷延する(長引いてしまう)可能性がありますので病状のコントロールも重要です。


経過観察

治療終了後の経過観察について

  • 治療終了後、紹介元病院を受診していただきます。治療後の定期的な受診や検査は紹介元病院・当クリニックで連携を取りながら行っていきます。
  • 治療終了時に、治療後のご体調をお聞きするために問診票「治療を受けた患者様へ」をお渡しします。次回に受診される際にはご記入して頂き、診察へお越しください。
治療を受けた患者様へ