【ニュースリリース】陽子線スキャニング照射 呼吸同期に対応

2022.04.25

この度当院では、これまで照射が不可能であった陽子線ペンシルビームスキャニング法(PBS法)の呼吸同期照射機能を新たに導入いたしました。

 

下図のように呼吸同期によるPBS法(図1左)は、自由呼吸照射(図2左)に比べて照射範囲が狭くなるため、お身体の負担が小さくなります。

また、呼吸性移動部位の照射において問題とされていた線量分布の劣化についても、呼吸同期によって低減することができます。

当院ではこのような最先端の照射技術を導入し、さらに安全な陽子線治療を提供できるよう努めてまいります。

 

【図1】新たに導入した呼吸同期スキャニング照射

【図2】従来の自由呼吸スキャニング照射

 

✳︎ PBS法の特徴

PBS法は数100~数1000個のスポットを電磁石で制御し、腫瘍を塗りつぶすように照射することで均一性の高い治療を提供します。PBS法(ペンシルビームスキャニング法)は少ない門数で腫瘍への線量集中性を持ち、従来の陽子線治療(パッシブ法)やX線に比べて正常組織への線量を低減できることが期待されます。

しかし、PBS法は胸部や腹部などの呼吸性移動を伴う部位においては、ビーム照射と臓器移動の干渉(Interplay effect)によって、治療計画時と比べ実際の線量分布が劣化することが臨床的・技術的課題とされていました。