循環器科

診療担当表



当科では循環器系の疾患に幅広く対応して診断と治療を行っています。おもな病気は、高血圧、狭心症、心筋梗塞、心臓弁膜症、不整脈、大動脈瘤、下肢静脈瘤、深部静脈血栓症、末梢血行障害、ペースメーカー外来、禁煙外来などです。高血圧は外来でその原因を検査して一人ひとりに合ったお薬を処方するようにしています。胸が苦しくなる狭心症は早期に発見、診断して適切な治療を行い心筋梗塞になり難くします。

64列マルチスライスCTという最新のCTが稼動しており、入院カテーテル検査を行わなくても冠動脈の様子が調べられるようになりました。


心臓血管外科部門

冠動脈バイパス手術により以前の体調を取り戻された患者さんも数多くあり、さらに安全で低侵襲な治療が受けられるように努力しております。心臓弁膜症もできるだけ人工弁を使用しない自己弁形成術を積極的に採用しています。大動脈瘤は破裂してからでは死亡率が極めて高く、定期検査などで発見された動脈瘤を人工血管に置換して破裂を防止しています。
平成25年からは腹部大動脈瘤ステントグラフト植込み認定施設となりました(後記.)。

末梢血管の診断治療も当科の得意とするところであり、カテーテルで治せないものには末梢の細い動脈に対しても極力バイパス手術を心がけています。また静脈瘤は平成23年より保険診療が可能になった最新のレーザー治療もいち早く導入して軌道に乗り、ほとんどが局所麻酔の日帰り治療でできるようになり喜ばれています。

また深部静脈血栓症によく合併する肺塞栓(エコノミークラス症候群)の早期診断も行っています。


①下肢静脈瘤血管内焼灼術

当院では、下肢静脈瘤に対して、従来行われてきた静脈ストリッピング術(下半身麻酔もしくは全身麻酔を用い、2,3日間の入院を要します)に代わり、H23年度よりレーザー血管内焼灼術(980nm波長レーザー)を行ってきました。当治療は、局所麻酔下に、細い針を穿刺もしくは皮膚を小切開した後、静脈を内側から焼灼しますので、体に与える影響が少なく、外来通院で治療が可能な画期的な治療法です。ただし、術後早期に痛みや皮下出血を生じることもありました。

上記を改善すべく、当科では、H26年7月より、従来のレーザー治療に代わり、最新の治療機器である高周波(ラジオ波)治療装置(Closure FAST)を当地域で初めて導入し、治療を開始しました。

高周波治療は、従来のレーザーと同様に外来にて局所麻酔下に血管に細い管を入れて、ラジオ波(電子レンジと同じ原理)で血管を内側から焼く治療です。今までのレーザーに比べて、術後の痛みがほとんどない極めて優れた治療と考えています。

レーザー治療同様、2014年6月から保険治療として認可され、最先端の安全・安心な治療を皆様に受けていただけると考えております。


下肢静脈瘤

木幹型

文節型   網状型   クモの巣型



血管内レーザー治療

 

 





②腹部大動脈瘤のステントグラフト治療

1. 腹部大動脈瘤とは

食事、生活習慣の欧米化、高齢化により大動脈瘤をお持ちの患者さんが本邦でも増加傾向にあります。

大動脈瘤は、心臓から出た血液を全身に送る大きなパイプのようなものです。タバコ、高血圧等は大動脈瘤の危険因子であり、これに加齢も加わって、大動脈が瘤状に変化します。(図1)

図1上


図1下

多くは、自覚症状がないため、知らず知らずのうちに拡大しますので、腹部エコーやCT検査などで、偶然発見されることが珍しくありません。大動脈瘤が破裂してから病院に救急搬送された場合は助かる可能性も低く、サイレントキラーと呼ばれる恐ろしい病気です。


2. 大動脈瘤の治療が必要な方とは?

大動脈瘤は、ひとたび破裂すると、全身に血液が送られなくなり、血圧が下がり、死亡に至るケースもまれではありません。お薬では治療できず、手術による破裂の予防が唯一の方法です。
以下のような方は、大動脈瘤の治療が必要です。
・大動脈瘤の大きさが5cmくらいになった方
・腰痛や腹痛を伴う大動脈瘤
・瘤が急速に拡大してくる方(1年で1㎝以上)


3. 腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術

大動脈瘤の治療は、2006年まで本邦では、お腹を直接切開して、大動脈瘤を切除し、人工血管と呼ばれるナイロン製のパイプに置換する方法が主に行われてきました。現在は、ステントグラフト内挿術と呼ばれる体にやさしい治療法が可能となってきました。(図2)


図2



ステントグラフト内挿術とは、ステントグラフトと呼ばれる人工血管(金属製のばねにナイロン製の布をかぶせたもの)をシースと呼ばれる太さ7mm程度のシリコン製の筒の中に折り畳み(図3)、

図3
お腹を切らずに、足の付け根の血管(大腿動脈)から挿入します。術中は、最新式の高機能画像診断が可能なハイブリッド手術室内で(図4)、

図4


体の中を透視することにより、ステントグラフトを正確に大動脈瘤の中に留置できます(図5)。血液がステントグラフト内を流れることで、瘤には、血圧がかからなくなり、瘤の縮小が期待できる画期的な治療方法です。

図5


退院後は、外来にてCT検査を定期的に行い、大動脈瘤径の変化、ステントグラフトの状態を評価します(退院後、半年後、1年後、それ以降は1年ごと)(図6)。

図6上

図6下


4. ステントグラフト内挿術のメリット

・傷が小さく(両足の付け根に約3㎝のきず)、痛みが少ない
・術後から水が飲め、翌日から食事、歩行が可能
・早期の退院が可能(平均1週間の在院)


当院は、日本ステントグラフト実施基準管理委員会より、腹部大動脈ステントグラフト専門施設の認定も受け、2013年3月より、腹部大動脈瘤の患者様に同治療を行っております。また、ステントグラフト専門医(指導医)も在籍していますので、赤穂近隣の方々にも、腹部大動脈瘤に対する同治療を提供させていただけます。

将来的には、従来ステントグラフト内挿術が困難とされてきた患者さまにも、開窓型分枝付きステントグラフトと呼ばれる特殊なステントグラフト内挿術も行う予定です。近隣の方々だけでなく、遠方からお越しの患者様にも、開窓型分枝付きステントグラフトによる治療をご提供させていだたきたく考えております。



閉塞性動脈硬化症に対する血管内治療

1. 閉塞性動脈硬化症とは

 動脈硬化により、おもに下肢の血流障害が原因で歩行困難などの症状が生じます。
動脈硬化は、喫煙、高血圧、高脂血症、糖尿病および高齢化等のさまざまな原因で血管が硬化し、血管の内腔が狭小さらには閉塞してしまう疾患です。(図1)

図1



動脈硬化は、慢性に経過するため急激に下肢の虚血を生じることは少なく、たとえ動脈が閉塞しても、側副血行路と呼ばれる多数の小さな血管の発達により、下肢末梢への血流は供給されます。しかし、病期の進行により、下肢冷感、間欠性跛行(歩行中、いったん休憩しないと歩けなくなる状態)といった下肢虚血の症状が現れ、さらには安静時痛(歩行しなくても下肢に痛みがある状態)、足趾の壊死(足の指などが黒くなり血流不良となる状態)まで発症することがあります。治療の適応については、患者様の状態により異なりますが、間欠性跛行があり、かつ歩行距離が短い(200m-300m以下)が一つの目安です。


2. 診断について

まず、触診により下肢の動脈の触知および下肢の温かさ、しびれ等を評価します。下肢血圧の生理機能検査法としては、上肢と下肢に血圧計を巻き、上下肢の血圧比を測定する装置により、簡便に動脈硬化の程度を測定できます。(図2)

図2



主な画像検査法としては、3D-CT検査により、下肢動脈の描出を行い、動脈硬化の状態評価(とくに石灰化とよばれる高度な動脈硬化)、閉塞部位の長さ、動脈径の正確な計測が可能です。(図3)

図3

3D-CT画像



3. 治療について

閉塞性動脈硬化症に対するPTA(経皮的血管拡張術)およびステント留置術 従来、骨盤内の動脈(腸骨動脈)や大腿動脈の閉塞、狭窄に対しては、人工血管等を用いたバイパス手術が行われてきましたが(図4)、

図4



閉塞性動脈硬化症の患者様については、動脈硬化が下肢だけではなく、全身に及んでいることがあり、脳、頸動脈または冠動脈(心臓の栄養血管)の閉塞・狭窄病変を合併し、周術期に脳梗塞や心筋梗塞等の合併症を発症することがあります。
このような背景から、局所麻酔下で行うPTA(経皮的血管形成術)やステント留置術が近年、盛んとなりつつあります。(図5)

 
図5



局所麻酔下で、2-3mm径のシースと呼ばれるシリコン製の内筒を挿入し、シースから1mmより細い径のガイドワイヤーと呼ばれるやわらかい針金動脈内に挿入し、これにより動脈狭窄、閉塞部の通過を試みます。通過が可能であれば、ガイドワイヤーに沿って、バルーン(拡張型風船)カテーテルで病変部位を拡張し、その後必要であれば病変部の拡張をステント留置により補強します。(図6)

図6



4. 治療後について

 外来での動脈触知、上下肢血圧比の測定、必要があれば、3D-CT等による画像診断を行い、下肢の血流を評価します。PTA、ステント治療は腸骨動脈病変での開存率は5年で70%と従来の手術とほぼ変わりありませんが、大腿膝窩動脈病変での開存率は腸骨動脈病変比べると成績が劣ります(5年で約50%の開存率)。ただし、従来の手術と比べて、周術期の合併症が少なく、多数のリスクを有する患者さんに対しては、PTA、ステント治療が妥当と思われます。
 

循環器科部門

虚血性心疾患の治療に際して、近年血管内カテーテルによる冠動脈治療が盛んに行われております。当院でもカテーテル治療を行っており、心臓血管外科と循環器科が一体となって、虚血性心疾患の患者様に対し最適な治療法を選択するように心がけております。カテーテル治療についても、従来の金属ステントによる冠動脈の狭窄部位の治療ではその後の再狭窄が全体の3割前後の患者様に起こっていましたが、薬剤溶出性ステント(サイファーステント)の使用により再狭窄率は1割以下に抑えられるようになってきています。サイファーステントにも長期的に血栓性閉塞の危険が残る等の欠点はあり、長期間の抗血小板剤内服が必要となります。また使用する抗血小板剤にも、副作用が少なくないため、すべての患者さまにサイファーステントを留置できるわけではありませんが、適応可能な患者様にはサイファーステントを留置しています。


また、鼠径部の動脈を穿刺して治療した場合、術後の安静時間も止血器具を使用しない場合は12時間程度の安静臥床が必要ですが、アンギオシールという止血器具を可能な限り使用して、術後の安静時間を4時間程度に短縮するようにしています。





禁煙外来

 平成18年4月より禁煙外来が保険適応になり、同年6月からは禁煙補助剤であるニコチネルTTS(ニコチンパッチ)が保険適応として認められるようになり、当科にて保険診療内での禁煙外来を開始致しました。
その後、経口禁煙補助剤であるチャンピックスが保険適応になり、従来のニコチンパッチによる貼り薬の禁煙は少なくなり、より簡便な飲み薬による禁煙が主流になっています。

 チャンピックスは、脳内のニコチン受容体に結合し、ニコチンの脳への結合を阻害する薬剤です。
チャンピックスを内服する事により、ニコチン欠乏時に煙草を吸いたくて堪らなくなる禁断症状が緩和され、楽に禁煙が出来ます。また、煙草を吸ってもおいしくないので、再喫煙が予防できます。
禁煙外来を受診し、12週間の治療を終了した患者さんのうち、65%の患者さんが禁煙に成功しています。これは、今までのニコチンパッチによる禁煙治療に比較して、遙かに高い成功率です。
このように、禁煙治療に対し、優れて有効な薬剤ですが、内服時に吐き気を訴える方が、30%弱おられます。吐き気は、空腹時に内服すると強いので、必ず食後に内服します。
吐き気も、内服を続けると、慣れてくる事も多いので、続けて内服して貰いますが、どうしても吐き気が辛い方には、チャンピックスの減量や、内服回数を減らす等で対応しています。
また、不眠や、鮮明な夢を見る等の症状を訴える方がおられますが、これも薬剤の減量等で対応しています。非常に希な副作用として、焦り、不安、焦燥等の精神的症状の出現、増悪の可能性があり、このような合併症が出現した場合は、禁煙の継続が可能かどうか、ご相談する事になります。
このため、精神科の治療を受けておられる方は、治療可能かどうかあらかじめ相談する必要があります。また、腎機能の低下した方も、用量を減らす必要があります。
現在の所、副作用の為にチャンピックスを中止した方は、非常に少数で、吐き気の為に中止した方のみですが、最近、チャンピックス内服後の眠気、意識障害により、交通事故をおこした症例報告が数件あり、
チャンピックス内服後は自動車の運転等危険を伴う機械作業は控えるようにお願いします。

 現在、当院の禁煙外来では、チャンピックス内服のみ行っており、ニコチンパッチを希望される方は、薬局で市販されているニコチンパッチを使用する事をお願いしています。
チャンピックス内服による、禁煙治療をご希望される方は、当院禁煙外来にご相談下さい。
尚、保険適応の禁煙外来の適応となる方は、ニコチン依存症にかかわるスクリーニングテスト(TDS)でニコチン依存症と診断され、ブリンクマン指数(1日の喫煙本数X喫煙年数)が200以上、直ちに禁煙することを希望していること、「禁煙治療のための標準手順書」に則った禁煙治療について説明を受け当該治療を受けることを文書で同意していること等が必要になります。
ブリンクマン指数が200に満たない方は、保険適応にならない為、ご留意をお願いします。



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