虚血性心疾患の治療に際して、近年血管内カテーテルによる冠動脈治療が盛んに行われております。当院でもカテーテル治療を行っており、心臓血管外科と循環器内科が一体となって、虚血性心疾患の患者様に対し最適な治療法を選択するように心がけております。カテーテル治療についても、従来の金属ステントによる冠動脈の狭窄部位の治療ではその後の再狭窄が全体の3割前後の患者様に起こっていましたが、薬剤溶出性ステント(サイファーステント)の使用により再狭窄率は1割以下に抑えられるようになってきています。サイファーステントにも長期的に血栓性閉塞の危険が残る等の欠点はあり、長期間の抗血小板剤内服が必要となります。また使用する抗血小板剤にも、副作用が少なくないため、すべての患者さまにサイファーステントを留置できるわけではありませんが、適応可能な患者様にはサイファーステントを留置しています。
また、鼠径部の動脈を穿刺して治療した場合、術後の安静時間も止血器具を使用しない場合は12時間程度の安静臥床が必要ですが、アンギオシールという止血器具を可能な限り使用して、術後の安静時間を4時間程度に短縮するようにしています。

平成18年4月より禁煙外来が保険適応になり、同年6月からは禁煙補助剤であるニコチネルTTS(ニコチンパッチ)が保険適応として認められるようになり、当科にて保険診療内での禁煙外来を開始致しました。
その後、経口禁煙補助剤であるチャンピックスが保険適応になり、従来のニコチンパッチによる貼り薬の禁煙は少なくなり、より簡便な飲み薬による禁煙が主流になっています。
チャンピックスは、脳内のニコチン受容体に結合し、ニコチンの脳への結合を阻害する薬剤です。
チャンピックスを内服する事により、ニコチン欠乏時に煙草を吸いたくて堪らなくなる禁断症状が緩和され、楽に禁煙が出来ます。また、煙草を吸ってもおいしくないので、再喫煙が予防できます。
禁煙外来を受診し、12週間の治療を終了した患者さんのうち、65%の患者さんが禁煙に成功しています。これは、今までのニコチンパッチによる禁煙治療に比較して、遙かに高い成功率です。
このように、禁煙治療に対し、優れて有効な薬剤ですが、内服時に吐き気を訴える方が、30%弱おられます。吐き気は、空腹時に内服すると強いので、必ず食後に内服します。
吐き気も、内服を続けると、慣れてくる事も多いので、続けて内服して貰いますが、どうしても吐き気が辛い方には、チャンピックスの減量や、内服回数を減らす等で対応しています。
また、不眠や、鮮明な夢を見る等の症状を訴える方がおられますが、これも薬剤の減量等で対応しています。非常に希な副作用として、焦り、不安、焦燥等の精神的症状の出現、増悪の可能性があり、このような合併症が出現した場合は、禁煙の継続が可能かどうか、ご相談する事になります。
このため、精神科の治療を受けておられる方は、治療可能かどうかあらかじめ相談する必要があります。また、腎機能の低下した方も、用量を減らす必要があります。
現在の所、副作用の為にチャンピックスを中止した方は、非常に少数で、吐き気の為に中止した方のみですが、最近、チャンピックス内服後の眠気、意識障害により、交通事故をおこした症例報告が数件あり、チャンピックス内服後は自動車の運転等危険を伴う機械作業は控えるようにお願いします。
現在、当院の禁煙外来では、チャンピックス内服のみ行っており、ニコチンパッチを希望される方は、薬局で市販されているニコチンパッチを使用する事をお願いしています。
チャンピックス内服による、禁煙治療をご希望される方は、当院禁煙外来にご相談下さい。
尚、保険適応の禁煙外来の適応となる方は、ニコチン依存症にかかわるスクリーニングテスト(TDS)でニコチン依存症と診断され、ブリンクマン指数(1日の喫煙本数X喫煙年数)が200以上、直ちに禁煙することを希望していること、「禁煙治療のための標準手順書」に則った禁煙治療について説明を受け当該治療を受けることを文書で同意していること等が必要になります。
ブリンクマン指数が200に満たない方は、保険適応にならない為、ご留意をお願いします。
|